大判例

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仙台高等裁判所秋田支部 昭和29年(う)185号 判決

原判決は被告人が(1)昭和二十七年一月二十三日(確定同年二月七日)姫路簡易裁判所において贓物故買罪により懲役一年及び罰金二千円懲役刑につき四年間刑の執行猶予の言渡しを受け(昭和二十七年政令第一一八号により懲役九月、猶予期間三年と変更)(2)同二十七年十二月十六日(確定同二十八年一月六日)渋谷簡易裁判所において窃盗罪により懲役一年、三年間刑の執行猶予の言渡しを受け、右各刑の猶予期間中に犯した本件窃盗につき刑法第二十五条第二項、第二十五条の二第一項後段により、被告人を懲役一年に処し、五年間刑の執行を猶予すると共に被告人を保護観察に付する言渡しをしたことは所論のとおりである。

所論はかかる場合は当然執行猶予を言渡すことは許されないと主張する。

被告人が(1)の前刑の執行猶予期間中に犯した(2)の窃盗罪につき渋谷簡易裁判所が執行猶予の言渡しをしたことは右判決当時は法律上実刑を科さねばならぬ場合であつたのであるから違法の判決といわねばならぬけれど、すでに該判決が確定した以上執行猶予の判決があつたものとして取扱われることは当然であり、このような経過により二箇の執行猶予の判決があつて、その各猶予期間中さらに犯罪を犯した場合においても刑法第二十五条第二項を適用し被告人に対し執行猶予を言渡し得るものと解する。

ただ(1)の前刑が(2)の執行猶予の判決言渡後発覚した場合であるときに限り右(2)の執行猶予は取消さるべきものであつたといゝ得る(但し昭和二十八年法律第一九五号による改正後においては刑法第二十六条ノ二、三号により取消得るにすぎない。)のであるから、右の場合、検察官としてはよろしく当時執行猶予取消の手続をとり取消決定を得ていたならば原判決はもちろん本件の如く執行猶予の言渡しをすることができなかつたわけである。論旨は理由がない。

(裁判長裁判官 中兼謙吉 裁判官 岡本二郎 裁判官 兼築義春)

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